シュルレアリスム実践メモ

学問としてシュルレアリスムを学ぶ管理人が(体を張って)シュルレアリスト・アート、ゲームを実行するブログです。シュルレアリスム初心者から専門的に学ぶ人まで楽しめるようにしたいとおもいます。

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Week16 シュルレアリスムと女性2

Week16 シュルレアリスムと女性2



          表現される女性から表現する女性へ―


続きです。前回は男性視点の内容だったので今回は女性シュルレアリストに注目。「○○の恋人」というレッテルに屈することなくシュルレアリストとして奔放に生きた彼女たちはカッコイイ!


LEVEL3:アーティストとしての女性


肉体的欲望の対象として、また奔放さの象徴としてインスピレーションを与える存在だった女性シュルレアリストたちも自分の声を持ち始めます。男性視点に反発するもの、それを逆手に取るもの、さまざまな方法で男性シュルレアリストにひけをとらない作品を残しています。ウニカ・チュルンの「ジャスミン男」とキャリントンの「ダウン・ビロウ」は、精神的に不安定な時期に書かれた物で、その不条理さはブルトンの「ナジャ」に勝るとも劣らず。(多分ナジャが一人称で書いたらこうなるんじゃないだろうか。)彼女たちは「生物学的に」男よりも非論理的・不合理的だと信じられていた女の特性を隠すことなく前面に打ち出したのです。


オッペンハイムは「女性から見た」フェティシズムを追求しました。そのフェティシズムはその特性上男性視点なのですが、それをあえて女性が視覚化することで、男性主体の「覗き見的」視線を意識させるのです。



ブルトンたちの後輩世代、1930年代後半ー1990年に活躍した3人娘レオノーラ・キャリントン、レメディオス・バロ、レオノール・フィニ特にバロとキャリントンはブルトングループとの関わりはあったものの女同士の友情の方が固く、二人でシュルレアリストゲームに興じていました。彼女たちの特徴は少女や動物をモチーフにした幻想的作風の絵画、自己イメージを投影した女性が主人公の文学作品など。自由さ、繊細さ、感受性の強さが表れています。



 Woman leaving the psychoanalyst/Varo


「男性主観」のフロイトを捨てる女↑


            


Embroiderring Earth's Mantle/Varo   The Spinners/Leonor Fini


     編み物・料理・養育など女性の労働を錬金術的な創造と結びつける


LEVEL4:仮面としての女性性


LEVEL3は女性としてのアイディンティティを肯定的に表現したものでしたが、LEVEL4を性自体を曖昧にし、女性性を「仮面のようなもの」だとする傾向です。つまり男性も女性も生物学的には同じで、女性性を上書きすることによって一時的に女性になる、ということ。フロッピーディスクを変えるように服を変え、化粧を変え、アイデンティティの変装を楽しむシュルレアリストたち。そこにはもう男女の区別は意味を成しません。


Joan Riviera:


“womanliness therefore could be assumed and worn as a mask, both to hide the possession of masculinity and to avert the reprisals expected if she was found to possess it” (Woman as a Masquerade)


 女性らしさというのは女性の持つ男性性を隠し、それが暴かれた際の報復を避けるための仮面だと考える事ができる。                                                                           


<フリーダ・カーロの自画像>


        


 左の自画像はカーロが画家のディエゴ・リベラと結婚した2年後のものです。パレットがカーロでなくリベラの手に握られていることから、カーロのアイデンティティは画家でなく、画家・リベラの妻というように解釈できます。またリベラに比べかなり小ぢんまりと描かれていますね。その隣の自画像はリベラとの離婚の翌年に描かれたもの。女性としてのアイデンティティをばっさり切り取り、短髪にぶかぶかの男性用のスーツといういでたちです。カーロは復縁後はふっきれたように奔放に恋愛を楽しみ、描かれる自画像も更にバラエティにとんでいきます。


<Claude Cahunの写真>



 変装名人カフーンは外せません。男と女の境界線をいったりきたりするだけでなく、人形に、仏に、化け物?に自由自在に姿を変える彼女はレズビアンでしたが、これはヘテロ恋愛主義のシュルレアリスムにとっては新しい風となります。(特にブルトンはホモ嫌いで有名。)同性愛、性の互換性はシュルレアリスムで立派に市民権を得たのです


シュルレアリスムは初期こそ男性中心、ひいては性差別主義だったかもしれません。しかしメンバーの多様化とともに性への意識は複雑化していきました。そして性別よりもアイデンティティ自体が流動的なものとして描かれるようになってきたのです。


オマケのローズセラヴィー



最初は「ユダヤ人になろう」とか思っていたが、名前も服も思いっきり変えられるので女にしたらしい;

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  • 2012/11/24(土) 04:44:56 |

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