Communicating Vessels
-Communicating Vessels -
ヤン・シュヴァンクマイエル,エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァ展
2月26日ー3月24日 University Gallery, キュレーター;Donna Roberts
映画ルナシーの公開も記憶に新しい、新鮮度No1のシュルレアリスト・シュヴァンクマイエル。いやー、葉山のシュヴァンクマイエル展以来です、生シュバ様をおがめるのは。しかも、自分の在籍する大学の美術館での展示なんて!毎日通えと言ってるようなもんじゃないか!
大学のギャラリーなもんで小さいのですが絵画、ドローイング、コラージュ、オブジェ、映画の放映とかなりの充実ぶりです。タイトル「通底器」の名のとおり、現実とイマジネーションの掛け橋を意識しています。2005年になくなったエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァの追悼の意味もあり、エヴァの作品の割合も大きい。
入るとアリスのお人形とオテサーネクがお出迎え。
一部屋しかないギャラリーに、40近い作品が展示されています。一見ランダムな展示でも、よく見ればテーマごとにまとまっている模様。以下、勝手につけたサブタイです。
錬金術
シュヴァンクマイエルの映画「ファウスト」の重要テーマでもあり、アルチンボルドの仕えたルドルフ2世も傾倒していた錬金術。エヴァの絵画Mutus Liberは17世紀の同名の錬金術書を基にして描かれたシリーズ。その他に、アルチンボルドを意識した作品、偏執狂的批判的方法を題材にした絵画など。シュルレアリストの好んだ魔術と変身というテーマをオマージュと言う形で見せてくれます。
Black Mother : 壷や花瓶でできた聖母子像。ダリの「秋のカニバリズム」へのオマージュへ加え、「自分で自分の一部を食べる」ウロボロスのような錬金術的な循環を表しているそう。また、シュヴァンクマイエルの「食」への執着/嫌悪感が唯一むきだしのナイフに見て取れるます。
博物史
短編映画「自然の歴史」(1967)で見せていた偽学術・偽科学的な態度がばっちり現れてるのが「博物誌のキャビネット」コレクション。たんに図鑑から切り取ったコラージュもあれば(それもすごい完成度なんだけど)、実際の動物・魚、虫などを組み合わせて作った本格合成獣まで!
政治
「スターリン主義の死」でストレートに表れる政治性。スターリンの死後もなお残る共産主義の制圧の中、チェコに残り制作活動を続けた夫妻。スターリンやマルクスの顔を使ったわかりやすい共産風刺やトワイヤンの「戦争」の前後を描いた「戦前」「戦後」など。
触覚
「悦楽共犯者」でおなじみの触覚の椅子がきてました。初日に誰か座ろうとしたのか?椅子の一部(ゴム手袋部分?)が曲がってしまった…。それ以来囲いと「Do Not Touch」の注意書きが付いたけどね。
そのすぐ隣にはエヴァ・シュヴァンクマイエルの触覚の肖像、こちらの注意書きは「Please do touch」。葉山でも触ったけど、やっぱり手を突っ込むときに躊躇してしまいます。
70年代に映画製作を禁止されていた頃、西洋の視覚中心主義を離れ「触覚」の概念を研究しはじめたシュヴァンクマイエル。マルキド・サドやポーの影響も受けつつ発展したこの概念は、色々な手触りを持つ「触覚のオブジェ」、粘土を使った「手ぶりの彫刻」などで具体化されています。(もちろん映画でも)ヤンとエヴァの「視覚と触覚の対話」が彼らの触覚哲学を分かりやすく示していておもしろい。服も皮も結局は本当の感覚を邪魔するものでしかない、と。
<感想>スペースは決して広いとはいえないギャラリーですが、それだけにシュヴァンクマイエル夫妻の空気を身近に感じられた展示でした。ファンにとっては垂涎ものの展示ですが、新たなファンを増やしたことも間違いないようです。遊び心と娯楽性、この2つで「誰にでもわかる/好かれる」シュルレアリスム像を作り上げた彼らの功績は無視できないものですね。
写真がブレブレなのは興奮していて震えていたためと思われます。堪忍したって下さい。
とりあえず期間中は毎日通う予定です














