シュルレアリスム実践メモ

学問としてシュルレアリスムを学ぶ管理人が(体を張って)シュルレアリスト・アート、ゲームを実行するブログです。シュルレアリスム初心者から専門的に学ぶ人まで楽しめるようにしたいとおもいます。

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絵描きと数学教師による擬似論文

大学の美術史のレポートに追われてちょっとほったらかし気味になってました;お題は19世紀の裸婦像ですー(げんなり)。私、階段を降りてこない裸体にはミジンコほどの価値も感じません。
階段を降りる裸体
マルセル・デュシャン 階段を降りる裸体no.2 1912

la poupee
こちらも降りてみました
ハンス・ベルメール La poupee

話が大脱線しましたが今回は前回のエントリ擬似論文の続きでございます。

先輩たちの足跡(過去のシュルレアリストの作品)

前回作ったのは経典型擬似論文でしたが、他にも学術論文型、取扱説明書型など色々な型ができるわけです。その中でもレシピ型は割りとポピュラー。

レメディオス・バロ先輩の「エロティックな夢を製造する方法」をはしょってご紹介。
(夢魔のレシピより。適当訳)

材料:クロハツカダイコン1kg、白い雌鳥3羽、にんにく一株、ハチミツ4kg、鏡、牛の肝臓2つ、鯨の骨でできたコルセット、付け髭2つ、お好みの帽子2つ etc etc

作り方:鶏の羽をむしり、雨水が蒸留水で、潰したにんにくと一緒に煮ます(略)コルセットをつけ鏡の前に座ります。緊張をほぐすために、にっこり笑って付け髭をつけたり、帽子をかぶったりしてみましょう。(略)牛の肝臓を風呂で温めますが、この時ゆでてしまわないよう気をつけてください。温まりましたら、枕代わりに使うか(マゾ用)、手の届く範囲でベッドの両側に置いて下さい(サド用)。

タイトルの割りに結構可愛い内容です。材料もエロとは全然関係ない日常品(?)ばかりだし。バロはメキシコのシュルレアリストですが、インスピレーションの起源はめっちゃヨーロピアンです。占星術・錬金術・魔術といったキーワードが彼女の描く絵に多くちりばめられています。下の絵もグラスや布地といった日常のものによって世界が構成されているという神秘的なものです

embroinding earth's mantle

地球のマントルを刺繍する/1961

exploration of the source of orinoco river

オリノコ川の水源の探求/1959

特に錬金術の、卑金属(=価値の無い物)から金(=価値ある物)を作るという行為は、日常の物・つまらない物から芸術を作るシュルレアリストの姿勢と同じです。料理も同じこと。平凡な材料からおいしい料理を作る主婦の方々はある意味錬金術師です。ではシュルレアリスムと錬金術と料理の関係が分かったところで実践編


motion sick 技法でtakaさんと作った偽レシピです。
(motion sick技法については前回のエントリで)

まず紫の老婆真珠一斉に混ぜ合わせて終着駅に着くまで待つ。(大女優が腰掛けていればOK。)ゆっくり横へ置いておく。次に缶詰のイワシを丁寧に枝分かれさせたら、はりつけにされたレンガのエキスを混ぜて、トンネルの臭いがするまで待つ。これを最初の材料と混ぜたら、テディーベアを加えて、グリーンマンの色になるまで煮込み、母親線路に沿って走らせておく。これを26℃で今週末まで煮込んだらブリーチーズと一緒に焼いて、マクドナルドの完成さ。どこもこうやって作ってるんだぜ。違いって言ってもインクボトルが入ってるかどうかのもんだ。
              ―シェフが魅せる!家庭で出来るプロの味~献立100選~

考察:…作ってるものがマクドナルドだからか!?さっき話した錬金術エトセトラの話が台無しです。つまらない物からできたのは、やっぱりつまらない物だった、という例。うん、でもおもしろいから良し。

今回紹介するもう一人の先輩は「不思議の国のアリス」の著者、オックスフォード卒の数学教員にしてロリコン言葉遊びの天才、ルイス・キャロルです。
彼は「スナーク狩り」(The hunting of snark)という物語(詩)の中で偽学術論文のテクニックを使っています。この長編詩はスナークという謎の生物を求めてBで始まる名前の一行が冒険するという内容。そこで出てくるスナークの特徴と捕まえ方は博物史系擬似論文といってもいいでしょう。スナークは、
味はパリパリ」してて、「ユーモアのセンスがなく」、捕まえる時は「指ぬき」で注意深く探し出し、「鉄道の株」で脅すといいそうです。キャロル自身、長い期間オックスフォードのクライストチャーチに(生徒としても教員としても)いたわけですが、学術論文を読んだり書いたりする機会は相当おおかったでしょう。そんな彼が、まじめな論文調で架空の生物を書くと…神秘度もしくはナンセンスさが強調されます。スナーク狩りは一見後者のようですが、あのぞっとするラストは…。
スナーク狩りは普通におもしろいし、シュルレアリスム教科書として持っておきたい一冊です。
the hunting of the snark

挿絵 Mervin Peake


えーそれでは実践編です。こちらも博物史系偽論文で。今回は斜体省きますがどこが私の入れた言葉かすぐにわかるでしょう。

みなさま そちらに見えますのは錬金術師の化石でございます。3年前のクリスマスあたりの化石です。主にホームレスを食べて暮らし、よく電気店で作曲することで知られていました。天敵のモミの木が、ケンちゃんの家より八嶋さんによって持ち込まれたため、10分間で絶滅したとのことでございます。そちらに見えますのは、妖怪がゲル化した化石でありまして、シュヴァイツアー博士が街路樹の下で発見したものです。主な食料は羊の皮をかぶった狼、冬は集団で家に帰るという珍しい習性を持っていました。天敵は弟だったとのことです。
                            ―博物館学芸員の説明より

考察:古代生物の生態説明ですね。ナンセンスさはありますが神秘度0!多分、天敵が弟だからでしょう。

この手の擬似論文(博物史系)というのはただ学者の論文を茶化したり面白おかしくするために書かれるのではなく、新しい物を"創造"しようとするシュルレアリストたちの功績であり、ある意味神への反抗なんじゃないかと思ったりもします。
自然史

ヤン・シュバンクマイエル 自然史より
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コメント

『スナーク狩り』読んでみたくなりました。「鉄道の株」で脅されるなんて切ない・・・

エロティックな夢を見るには「野村義男のテレカ」は必需品だね~(痩せ薬だったっけかな?)

  • 2006/03/04(土) 20:30:22 |
  • URL |
  • ハイケー #-
  • [ 編集 ]

>拝啓さん 
スナーク狩り、ぜひぜひ読んでみてください。図書館でも借りられますよー。

  • 2006/03/05(日) 17:04:16 |
  • URL |
  • lushy #-
  • [ 編集 ]

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