Undercover Surrealism
ヘイワードギャラリーUndercover Surrealism潜入レポート
去る16日、ロンドン・ヘイワードギャラリーで開催されているUndercover Surrealismを見に行ってきました!
この展示は、ジョルジュ・バタイユの手による雑誌「ドキュマンDocuments」にスポットライトを当てた世界初?の展示であります。ブルトン中心のシュルレアリスム運動において、敵対するバタイユはあまり美術館では取り上げられたことはありませんでしたが…。
どんな魅力をみせてくれるのか期待大。

地下鉄ウォータールー駅構内ではポスターがお出迎え。
5分ほど歩くと見えてきました。思ったより小さい。

ヘイワード・ギャラリー
大きさで勝負したら大手美術館には全くかなわないです。問題は中身の濃さ…

濃い!!濃ゆすぎる!
入ってすぐに目に入るのはお姉サン達が安っぽい舞台の上で、チープなダンスを披露する白黒映画。しかしすぐ右を向くとアフガニスタンの木彫りの像が、うつろな目で遠くを見つめています。更に奥には、聖水のボトルに入ったオブジェや民族的・土着的な仮面や絵が一同に。

なんか可愛いエチオピアの儀礼的医療グッズ。ねこぢるっぽい
あまりのちゃんぽん具合に「!?」となるLushy
横に長くひらけていて、結構なスペースを持つこの部屋のタイトルは
「巡礼の場所」Places of Pilgrimage
儀式のマスクやキリストのオブジェがあるのは理解できるとして上の映画はいったい何?!
その謎を解くために、Dawn Ades教授の解説でドキュマンの特徴をおさらい。
ハイ、ここテストに出しますよー
前回のエントリにも書きましたが ドキュマンは芸術のみでなく民俗学や大衆文化を扱った雑誌です。というか、芸術も工芸品やポップカルチャーと同じところまで下げて(Bring Down)見るべきだ、という趣旨でした。そんな点ではブルトン側の持つ「昇華された詩的さ」は無く、むしろ泥臭い感じすらします。カテゴリー分け、ランク付けの嫌いなバタイユのこと、「芸術」という概念があったのかも疑わしいですが。
そんなわけで 西洋・非西洋、 古代・現代、ハイソサイエティ・大衆文化の壁を取り払い、それらを対比させるより共通点を探し新しい意味を与える、というのもドキュマンの特徴です。
でハリウッドと宗教の関係ですが、
・Icon(アイコン)としての、ヒーロー、ヒロイン像
・労力・金をつぎ込む先は、幻影、期待、夢以外の何物でもない
・虐げられたものたちが集まる場所
などの点からハリウッド=現代の聖地として、扱っているわけです。
この部屋の目玉商品はパブロ・ピカソのThree dancers

踊り子ということ以外に上のハリウッドレビューとの共通点がありますよ。
このポーズ…キリストの磔。
さらに、この作品はピカソの友人Ramon Pichot(右上の横顔の影でしょう)の死を追悼するために描かれただけあって死のイメージが色濃く出ています。
まぁ、この部屋だけでなく残りの部屋にも死のイメージがついてまわるんですが。さすがバタイユ編集の雑誌ドキュマン。
階段を上がると目の前にはボワッファールの「足の親指Big Toe」(リンクで飛びます)の超拡大ヴァーションが。そしてその横には、それに対応するようにダリの「水浴びする女 Female Bathers」

さてここからダリ部屋です。といっても、うちの居間位しかない小さなセクションですが。向かいの壁は「犯罪」がテーマってことで、ファントマのカバーやダリ&ブニュエル合作のアンダルシアの犬のスティルが張られてたりします。暴力とポップカルチャーの融合。

Un Chien Andalou(1929)より。
バタイユもダリには「身の毛のよだつほどの醜さ」と作品を形容してラブコールを送っていました。私の中ではブルトン側のイメージがあった彼ですが今になってバタイユの好みド直球だな、と。
まぁ、肉がうねうねしてるのを、メタモルフォーゼと見るか歪像とみるかで違うだけかもしれないですが…
※追加レポダリ部屋の目玉はコレ!(と勝手に決めた)
Lugubrious Game

調べたけど日本語名わからず…。
でもこれ複製なんですよね…。さすがに本物は無理だったらしく説明図の横に小さなレプリカちょこんとおいてあるだけでした。
説明図

パート事に説明がついてます。(フランス語で)要約すると、去勢に対する恐怖心を表している、と。
実は、当時のバタイユもこの絵をドキュマンに掲載しようとして断られ代わりに上の説明図を載せたというエピソードが…。そんなところまで再現しなくていいよぅー;
ちょっと長くなりそうなので、エントリわけまーす。
テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
始めまして、ロンドンまで行けないので、貴方のレポート、興味深く拝読させていただています。わたしも10代の後半にバタイユにはまっていましたので、懐かしく思い出します。---今は、正統・ブルトン一派ですが(笑)
会場の様子に臨場感があって、楽しいです。アデス女子はダリの専門家と聞いています、その部屋の様子、もう少し知りたい----
10代でバタイユとは中々渋いティーンエイジャーですね。でも確かに、バタイユ的なものは、色々なところにあるわけで、もっと日の目を見てもいいんじゃないかなぁ、と思います。(まぁ、それに気づかせてくれたのはドーンなんですけど。)
ダリ部屋の詳細ですね…
近いうちに(多分5月中)に2ラウンド目を行う予定ですので、追加レポいたします。
- 2006/05/25(木) 21:52:51 |
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