シュルレアリスム実践メモ

学問としてシュルレアリスムを学ぶ管理人が(体を張って)シュルレアリスト・アート、ゲームを実行するブログです。シュルレアリスム初心者から専門的に学ぶ人まで楽しめるようにしたいとおもいます。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Unercover Surrealism3

Undercover Surrealism 3

「バタイユ部屋を抜けると、そこは不思議の町でした…(千尋調)」


horsetail
(karl Blossfeldt/ Equisetum Hiemale
え,イスラム宮殿??


crab
Jean Painleve Lobster Claw
おじいさんの顔?



ではなく、上は植物の一部で、下はロブスターのはさみ部分です。
とかいいつつ、私も説明を読まなかったら、この不可思議なオブジェが一生なんだかわからなかった自信がありますね。
このBlossfeldtの植物シリーズとJean Painleveの生き物シリーズに加え、壁についているテレビ画面には海の生物の観察映像らしきものが流れています。

なるほど…


この部屋は…


自然をテーマにした部屋だ!


arp
Hans Arp(Moustache-head and bottles)


あ、ですよね;いくらドキュマンが芸術以外も扱っているとはいえ、ネイチャーチャンネルばりの生物レポートをしていたとは思えないし。

で、気になるこの部屋はFormlessness(フォームレスネス)、つまり形の無さ、というものにフォーカスを当てた展示です。
フォームが無い(Formless)という状態を理解するために、フォームとはどういうことか整理しましょう。

高校生の時、アリストテレスの質料と形相とかいうのを習った覚えがあります。万物は質料(材料、マテリアル)と形相(その意味、機能)で構成されてるってやつで、ここでいうフォームとは形相のことです。木の椅子は誰も座らなかったら、椅子になる可能性を持っただけの木のかたまりです。
なので形相(フォーム)こそが物の本質だ。っていうのが西洋思想のメインストリームですね。ただ、形相は質料にアイデンティティを与えるとともに、それを制限してしまいます。
(椅子は座ったり踏み台にするもので、檻に入れて飼うものではありません)

マテリアリスト・バタイユがしようとしていることは、ずばり

物(形相+質料)―形相=質料

物から意味や機能をとっぱらって、純粋にマテリアルとしてそれを見ていくとともに新しく定義をしなおす可能性を開く

ってことです。ポジティブに解釈すれば…。

フォームを ”物を意味、機能、分類で締め付けるにする哲学上の上着”に例える文章がありましたが、いちばんしっくりくる説明でした。(“philosophical straight jacket” that suppress the object with the meaning, function and category”)

で、マテリアルからその上着を脱がすために、彼らは、切り取ったり、拡大したり、抽象化してるんです。カニのハサミはそれだけをクローズアップすることによって「カニの付属部分」というジャケットを脱ぐことになります。

つまり、上の写真に「何コレ…?」と思った私はまんまと彼らの思惑にのってたわけですね。

生物写真の他、この部屋には一般的に抽象芸術といわれるものが展示してありました。ハンス(ジャン)・アルプ、ブランクージ、ジャコメッティなどなど。自然物じゃないものは一層何なのかわかりにくいなぁ

「作品を見る前に題名を読むとはまだまだだな、Lushyよ」

はい、すいません;精進します

次の部屋に向かう廊下から、最初の部屋で見たでスクリーンが裏側から見えます。ハイテンションなお姉さん達を横目に見ながら階段をおりると、次はピカソPablo Picasso)の部屋です。


picasso

手を抜いてるわけではないです汗

ドキュマンとピカソの関わりは深く、一冊まるまるピカソ特集って事で、デスノス、ミシェル・レリスその他、詩人や文学者がピカソへの賛辞を詩にした刊があるとのことです。展示では詩は一つだけ(誰の作品か忘れた;)展示されてます。さらっと読みましたが、うん、私がピカソならドン引きです。この執着ぶり。

画像が見つからないのが残念ですが、ピカソの絵は"Woman in armchair"など人物画がほとんで、キーワードはやっぱり 人体のデフォルメ、分解、そして再構築でありまして、バタイユが気に入らないはずないだろうなぁって感じです。彼の絵は中学時代から嫌というほど見ていますが、「マテリアルとしての人物」画、という視点でみたことは無かったので新鮮でした。ブルトンはキュビズムを詩的に見ていますが、バタイユはきっぱりピカソを「Anti-Idealist」と言ってますね。この展示は特にそう感じさせる作品が多かったです。



さて、ピカソ部屋を抜けると映画部屋がありました。

green pastures

The Green Pastures(1936)より。ほほえましい一コマ。


ダリ&ブニュエルの「アンダルシアの犬(1929)」(Un Chien Andalou)はもちろん、エイゼンシュタインの「ジェネラル・ライン(1929)」(Sergei Eisenstein’s General line)、キング・ヴィダーの「ハレルヤ(1929)」(King Vidor’s Hallelujah)など, シュルレアリスムからミュージカルまで何でもありのショートフィルムが10本程ローテーションしてました。俗っぽさの目立つミュージカル&ダンス系がお気に入り。

隣の部屋は音楽鑑賞室になってました。といっても椅子に無造作にヘッドフォンが置いてあるだけでしたが…。
ドキュマンは音楽の特集もしていたようで、当時としては画期的だったと思います。
ジャズの他、キューバンリズムハイチのブードゥーが聞けます(苦笑)
ブードゥー音楽って結構陽気なんだなぁ。儀式というより祭りって感じ。

長かったドキュマンの旅も終わりに近づき、いよいよ最後の部屋です。

Heads and Headlessness
人のアイデンティティを一番示す部分、頭部。
そして、頭部といえばこの人、

earst
(Max Ernst
We can see more than one lawyer dash past letting his voice drop to time)

百頭女のマックス・エルンスト。体から疎外された頭、強調された頭、色んな種類のHEADを見ることができます。ビクトリアン調の挿絵が彼の手によってコミカルに変身しています。

その他にもポートレイト写真、トーテムポール、顔のついた楽器など面白い物はあったんですが、私が一番興味を引かれたのはコレ!

Nicolas RegnaultのThe deviation of Natureより。
mutant


奇形児でしょうか?脳が見えているのにキレイな笑顔です。本来なら生まれてすぐに死んでしまう所を、成長させた姿で、しかもにこやかな姿で描写しています。
(人形バージョンもありましたがそちらは目を瞑っているのでこっちの方が好き)
シュルレアリスムではパラノイアヒステリーなど精神的病気が注目されがちですが、バタイユは身体的な奇病に目をつけていたわけですね。
人間をあくまでも、物質的・科学的に見る姿勢が伺えます。

※追加レポ
前回行ったらこんなフライヤーもらいましたよ。ポストカードサイズで、とってもクールですね。
flyer


あと、よく見たらセクションがHUMAN BODYHEADに分かれてました。すいません。
flying
なんか可愛いネイティブアメリカだかどこかの民話の挿絵。直訳すると「大頭」とか「飛頭」。

ある日おばぁさんが炭を焼いていると山から怪物・大頭が降りてきました。大頭がおばぁさんを見ていると、なんとおばぁさんが炭を食べ始めました。びっくりした大頭は山へ逃げ帰りそれから姿を見せませんでした。

アレ、どっちが妖怪なの!?


head

スライドで、ありとあらゆる頭達が壁に映されています。洗礼者ヨハネの首ちょんぱから、頭蓋骨、ポートレートまでそれこそ古今東西、絵・写真・彫刻問わず。

mask

こちらはナイジェリアのカーニバルの仮面。顔が両面についています。
最初にも書きましたが、ドキュマンの視線は常に両方向を向いています。
古代現代西洋非西洋上流文化大衆文化
まさに、そんな姿勢を表している作品ですね。


最後はボワッファールの写真達で締め。

boiffard



boiffard

クリックで拡大。これ、図録の表紙にもなってます。





終りか…と思ったら、思わぬおまけがw
何と翻訳されたドキュマンの一部が読める資料閲覧部屋がありました♪
図録や、関連資料も読み放題。すごすぎるよドーン!
ここで、暮らせる...と本気で思ったのは内緒です。

おみやげ部屋もシュルレアリスム関係充実していました。

document
ドキュマン型ノート。


長旅、お付き合いありがとうございました
スポンサーサイト

テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://surrealisme66.blog53.fc2.com/tb.php/53-5b35da64
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。