シュルレアリスム実践メモ

学問としてシュルレアリスムを学ぶ管理人が(体を張って)シュルレアリスト・アート、ゲームを実行するブログです。シュルレアリスム初心者から専門的に学ぶ人まで楽しめるようにしたいとおもいます。

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川村記念美術館

川村記念美術館 103室はヤバイ。

だいぶ前の話なんですが、千葉の佐倉にある川村記念美術館に行って来ました。
川村記念美術館は主に西洋の近現代美術を扱っている所で、シュルレアリスム部屋なんかもあったりするんですが、イチオシはこれ!

Joseph Cornell 部 屋 !

箱 が 7 つ も !うわぁーい!

本で見たあんな箱やこんな箱が目の前に…こんな千葉の田舎で!(失礼)
ベネチアのペギー・グッゲンハイムでコーネルの作品3つを見つけてたっぷり幸せに浸っていた私ですが、1部屋まるまるCornellにささげた美術館は始めてみました。川村さん、マジ尊敬しますわ。
 ってことで、このエントリもCornellオンリーでいきます。
クレー展書くのがめんどくさいからじゃないですよ。いや、本当。

コーネルといえば箱ものアートなんですが、部屋に入ってすぐに小さなコラージュ作品があります。感じとしてはエルンストのコラージュっぽく、ヴィクトリア調の挿絵の切抜き。なんか不気味かわいいかんじでした。


habitat


箱作品の1つ目、オウムと蝶の住まい(Parrot and Butterfly Habitat)でも切抜きが使われています。有名な「鳥小屋」シリーズの1つですね。こちらは博物史から蝶のイラストを使っていますが、良く見ると本物の標本が2体だけいます。こーゆうのは本じゃわからないなぁ。Cornellのコレクター魂、恐れ入ります。

music


次は、オルゴールを仕込んだ優雅な作品ピアノ(Le Piano)。耳を近づけるとモーツァルトのピアノソナタが聞こえます。下の段のキューピッドが青ガラスのせいでよく見えないんですが実は太鼓叩いてます。内装も、箱の側面も裏側までも譜面で覆われてます。その大部分が19世紀のロマンティックオペラだとか。ヨーロッパとノスタルジーを愛するCornellらしいです。
彼の時代には、このようなオペラ大作の簡易版譜面が大量に出回っていたということなんで、「古きよき時代」を表現しようとしたCornellにとっては都合が良かったみたいです。
ガラスケースがなければ、裏面のオルゴールねじをいじりたかった…。

bella


3つ目は美女(La bella)です。パルミジャニーノの描いたポートレートの複製が、ぼろぼろになった漆喰の上に張り付いています。厚塗りの漆喰のでこぼこ感が擦り切れたポートレートと古色のような黄色のペイントに裏打ちされて、何世紀も前のヨーロッパの家のような雰囲気をかもし出しています。アメリカ人なのに欧州贔屓なJoseph Cornell氏。箱の裏側はタイトルと同じイタリア語の本で覆われています。解読しようとしたけど挫折しました(汗)オペラか詩かなぁ、と思うのですがそうだとしたら、ポートレートの貴婦人に(バレリーナ・タマラに向けたような)歌姫・舞姫に抱くような優雅な幻想を重ねていたのかもしれません。ともあれ、彼の選ぶ女性や子ども達は、儚い美しさを持っていて好みです。

celestal


お次は、ソープバブルセットシリーズから鳥達の天空航法(Celestial Navigation by birds).群青に塗られた背景に素焼きのパイプ、グラス、巻貝、ヒトデ、上部に通されたレールには白いマーブル3つ。ヒトデ(star fish)と泡にも付にも見えるマーブルが、空間を海にも宇宙にも見せてくれます。
内側面には星図と地球の図が。
マーブルはレールの上を転がるのか転がらないのか激しく気になり、学芸員さんに聞きましたがわかりませんでした。個人的には転がすのが「正しい見方」だと思っていますのでどうかガラスケースを取って試させて下さい、学芸員さん(切実)。

dovecote.jpg

5つ目は鳩小屋(dovecote)シリーズの1つAmericanaです。漆喰の壁に24の丸穴規則正しく並んでいます。覗き込んでも鳩は見えないことは分かっているのですがついつい、見てしまいます。そうすると、水色の玉が見えたり、空洞だったり、あるいは穴そのものが塗り固められているのがわかるわけです。水色の玉はシンボル化された鳩なのか、それともシンボル化された「鳩の不在」なのか?
そして、果たして水色の玉は動かせるんでしょうか、ちょっと試さしてくださ(略)。

hotel mer


6つ目はホテルシリーズから海ホテル:砂の泉(Hotel de la Mer: Sand Fountain)です。割れたグラスから黄色い砂が零れ落ち箱の下2センチほどを満たしています。砂の中には乾いた流木が見え隠れしています。木枠には焼け焦げたラテン語のページ、内側はスペイン語で書かれた地図、さらに裏面には外国の切手と異国情緒あふれる箱ですが、そこにあるのはやはり、虚無感と違和感。本来の場所から切り離された流木、ほとんど機能を失ったグラス。
アウト・オブ・プレイスなもの達。
一晩の宿を求めて、来ては去っていくホテルの客達に重ねたのでしょうか。
Cornellにとってホテルとは決してアットホームな場所ではなかったんですねー。

etoile

最後の作品もホテル・シリーズから。星ホテル(Hotel Etoile)です。
真ん中に主役になるオブジェがなく、さらに空虚感が前面に押し出されている感じです。昼と夜をあらわしているのでしょうか、ポールで区切られた箱の左側は紺のペイントに星座標、右側は白い漆喰の上に輝く太陽という配置になっています。
箱の表面はオーブンで焼かれたため鱗のようにぼろぼろと崩れ落ちそうにひび割れています。
内側の漆喰の部分もかなり厚く塗られて、殺風景な古いホテルのひび割れた壁を連想させます。客を拒んでいるようにも見えるこの部屋の中で場違いに微笑む太陽のモチーフはCornellがアンチョビの缶から切り抜いたものだそうで。
何だか魔術書や錬金術書を連想していた私は拍子抜けしてしまったのでした。



結論!Cornellは現物で見ると5倍楽しい。
本気でそう思った展示でした。いや、5倍という数字に特に根拠はないんですが…
まず、正面からの図だけでなく、裏側、側面が見えるということ。貼ってある文書が(まぁ所詮読めないんですが)外国語の小説や星の位置を表した表だったりしていちいち楽しい発見がありました。その点裏面、側面の見えないグッゲンハイムの展示方法と比べて360度楽しめる川村記念美術館の展示は親切だと思います。といっても普通の人は裏なんかみないわけで、そんなことしてたら監視員のお姉さんの警戒のまなざしを独り占めです。(オマケにメモを取っていたら「夏休みの宿題かい。えらいねぇ-」と年配のお客さんに言われました。)

また裏側だけでなく、内側を「覗き見る」ことも彼の箱の醍醐味です。覗き箱(Peepbox)の好きだったCornellらしく、覗いてみて初めてわかる仕掛けがあったりするんですよ。絶対正面から見えないような内側面にコラージュが施してあったり文字が書いてあったり。
そして何よりテクスチャーがしっかりわかること。さらさらした砂や、ぼそぼそとひび割れたペイント、乾いたセラミックなど、3次元的な感触を楽しむのも大事なアサンブラージュの要素だということを改めて確認しました。
     …やっぱり箱を動かして中身が動くか確かめたかったですね(←まだ言うか)


備考:おみやげも充実。
シールセットと葉書数種に加え、冊子も売ってます。
今回の記事の写真は冊子:Joseph Cornellからいただきました。

cornell

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テーマ:美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル:学問・文化・芸術

コメント

いいなあ わたしも見てみたかった。箱の世界はすばらしいね。見てたらいろんな妄想が広がって飽きなさそうだ。Lushyちゃん、よだれジュルジュルだったんじゃないですか。

  • 2006/08/01(火) 18:16:10 |
  • URL |
  • 841 #-
  • [ 編集 ]

ははは、それは841さんの方でしょー。
まぁ、よだれは認めますが笑

  • 2006/08/06(日) 07:56:32 |
  • URL |
  • Lushy #-
  • [ 編集 ]

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