シュルレアリスム実践メモ

学問としてシュルレアリスムを学ぶ管理人が(体を張って)シュルレアリスト・アート、ゲームを実行するブログです。シュルレアリスム初心者から専門的に学ぶ人まで楽しめるようにしたいとおもいます。

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Week 6 チューリッヒ・ダダと抽象芸術

WEEK 6 チューリッヒダダと抽象芸術



ドーン・アデス教授帰還。



先週はベルリン・ダダのフォトモンタージュを見たわけですが、今回はちょっと時間を遡って、ダダ発祥の地・スイスのチューリッヒにおける芸術を見ていきましょう。


 



チューリッヒ・ダダの芸術は「抽象」のひとことに集約されると行ってもいいでしょう。


例えば、ジャン(ハンス)・アルプ。チューリッヒ・ダダの最重要人物です。


           Jean Arp (Hans Arp). The Navel Bottle from 7 Arpaden. 1923      


the Navel Bottle 1923                                Duo Collage 1918


おさらいですが、ダダは「反芸術」「否定の芸術」と言われるように何かに反発して起こってるわけです。まぁ、元を正せば「戦争への嫌悪感」に尽きるんですが。


ベルリン・ダダのフォトモンタージュは強い攻撃性・批判性を持っていてものっそい分かりやすかったですね。


                                        


                                 Hannah Hoch /Cut with the kitchen nife  


戦渦の中にあったドイツと違い中立国スイスのダダはそんなに焦ってプロパガンダに走る必要はなかったわけです。じゃ、何に「反発」しているのか。戦争そのもの、というより戦争を引き起こす土壌となった今までの慣習や考え方=ブルジョワ(資産階級)文化に対してです。


イメージ的にはアレです、ヴィクトリアンな感じのテーブルを身なりのいい紳士が囲み、お茶を飲みながら絵画や文学について議論する、みたいな。その一方できちんと労働者から搾取し、権力の拡大に力を尽くすことも忘れない、と。


そんなブルジョワな方々が(建前でも)好んだ芸術・教養・そして文化の根底にあるものは


 


1narration (物語性)


2logic(論理)


3individualism(個人主義)


4spiritualism(精神主義)


 (偶然にも聖書を開けば以上のことがすべて見つかります 滝汗)


 


なので当然ダダはこれと逆を行くわけです。


 



1) meaninglessness(意味のなさ)




貴族の偉大さを称える肖像画、英雄の勇姿を象った彫刻…


どんな芸術にも少なからず物語、というか説明的なものが入ってきてしまうものです。


そんな物語を語る「ツール」としての芸術に反抗して、「何もしゃべらない芸術」を作ってしまえと思ったのがチューリッヒ・ダダイスト。




 


Sophie Taeuber/Vertical and horizontal composition 1928



批判を「叫ぶ」ベルリン・ダダとは対照的です。



Raoul Hausmann ABCD 1923-24






2) Chance (偶然)



どんなことにも原因があり、結果がある。


いい事をすればそれは自分に帰ってくる。



本当か?



疑いを持ったダダイストは「偶然」を芸術にとりいれました。


1から計算して作ったわけではない、こんなランダムな作品が


「芸術」になりうるということを証明し、今までの概念を吹き飛ばしたわけです。


    




Jea Arp / Collage Arranged According to the Laws of Chance
(偶然の法則にしたがって配置されたコラージュ)



ちぎった紙を投げて落ちたところに貼り付けたと言われています




Marcel Janco / mask



マルセル・ヤンコはその辺にあったものを見境なく拾って立体作品やレリーフに使ってたらしいです。


 キュビズムのパピエ・コレと比較。ピカソは大先輩。


 


           





                 Pablo Picasso/ Tête 1913


 




3) Anonymity(匿名性)


偶然が芸術に取り入れられるなら「芸術家って何?」ってことになりますね。



別に天才じゃなくても芸術が作れるのだから。


ここで、ルネサンス以来の「才能主義」「ネームバリュー」とかいったものの効果が薄れてくるわけです。


個人が重要ではなくなってくるからです。


できるかぎり「自己」を排除した結果の抽象芸術ですので、いわゆる表現主義の絵画とは性質が異なります。



 


左)ゾフィー・トイバーのタペストリー 


右)ドイツ表現主義・フランツ・マルクの絵画



芸術と工芸品の違いは何だろう。


 


4) Materialism(物質主義)




「この百合は聖母マリアの純潔を表していて…」などという高尚な講義はダダに無駄です。


彼らが欲しいのは「描写」によって表された精神世界ではなく、もっと物質的直接的なパワーです。


「(描かれた)ゴシック教会の厳粛さよりも(実際の)パンツ1枚のほうが偉い」(ヒュルゼンベック)との言葉通り、2次元のカンバス画を離れコラージュ、アサンブラージュ、レリーフを作るメンバーも多くいました。


(実際にパンツを貼った人がいるかどうかは知りません)


 


 


Marcel Janco             Kurt Scwitters/Mirror collage



右のシュヴィッターズは厳密に言えばチューリッヒ・ダダイストじゃないですが、例として入れてみました。本人はベルリン・ダダに入ろうとしてヒュルゼンベックに断られたことがあるので、属性的にはチューリッヒよりでしょう。






以上のようにアンチ・ブルジョワ概念を抽象芸術で表したのがチューリッヒ・ダダの特徴です。


Week 2 映画もこの範疇にはいりますね。


 


次エントリでは アルプについて詳しくやっていきます。


 


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